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長期運用するなら毎月分配型投信は買ってはいけない!

投資信託には「分配金」という、株式の配当金に相当するものがあります。このことは、多くの投資家が周知しているかと思います。しかし、分配金が多いほど優秀な投信・ファンドだという「誤解」が多いのも事実です。そのため、日本では毎月分配型投信が圧倒的な人気を占めており、純資産残高が最大のファンド=グロソブも毎月分配型です。

投資信託は、多数の投資家からお金を預かり、それを数多くの株式や債券に投資します。そこで得られた利益(売却益や配当金)の分だけ、投信(=投資家)の資産が増えるわけです。この増えた利益は、二通りの方法で投資家に還元されます。一つは分配金として投資家へ直接還元する方法、もう一つは投信の資産価格(基準価格)に反映させる方法です。

この二つの方法は、原理的にはどちらが有利・不利ということは無いのですが、長期の資産運用を考えるなら、分配金で還元される方が確実に不利になります。なぜなら、分配金には税金が課せられるからです。 分配金には10〜20%の税金が掛かりますが、投信の内部留保金には掛かりません。そのため、分配金として投資家に払わず、投信の資産として内部留保し、投信側で再投資に回してくれた方が、複利での利回り効果が大きくなり、投資家の最終利益が増加するのです。
複利投資の効果は絶大  →税金が株式投資に与える影響

分配金の有無と利回りシミュレーションでは実際に、分配の有無でどう利回りが変わるのか?シミュレーションしてみましょう。前提条件は、年率6%の利回りを上げる投信に100万円投資して、10年後にはどうなるか?とします。これは外債ファンド(グロソブなど)の平均的な利回りです。一方は毎月分配型(投信の利益は全て分配する)で、もう一方は分配金はゼロ=投信内部で再投資するものとします(※計算を理解しやすくする為、信託報酬は考慮しません)。

分配金を出す場合、毎月5千円となりますが、ここには税金10%が掛かるので4500円に減ります。故に10年間の累計は、元本100万円+分配金の合計54万円(4500円×120週)で154万円となります。一方、分配を出さない場合は利益を複利で運用できますから、10年後には約179万円になります。何と、10年間で約25万円もの差が出るのです。 しかもこれは、税率が10%で計算した前提です。現在は株式投資の税金は、軽減税率で10%になっているので、もし本来の税率=20%に戻れば、毎月分配型の最終額は148万円とさらに大きく目減りします。

日本で人気の毎月分配型投信は、長期の資産運用を考える投資家にとっては、最悪の運用方法なのです。毎月分配型投信は、わざわざ複利を単利に変えて利回りを低下させる、極めて不利な行為なのです。

確定拠出年金なら税金はかからないので問題ない

逆に言うと、税金が掛からなければ、分配回数が多くとも利回りは低下しません。この条件に合致するのが、当サイトで加入を推奨している「確定拠出年金」です。確定拠出年金の運用資産には、途中で税金は一切掛からないことになっていますので、毎月分配型の投信で運用しても、全く不利にはなりません。

また、投資家の利益を考えて、意図的に分配金を出していないファンドもあります。『住信−STAM』や『三菱UFJ−eMAXIS』のシリーズは、低コストのインデックスファンドとして知られますが、実は2011年末時点まで、一度も分配金を出していません。絶対に分配しないと明言している訳ではありませんので、将来的には基準価格が高騰していけば、分配金を出す可能性はあります。しかし、STAMやeMAXISは、投資家にとことん有利な制度設計をすることを主眼に置いたファンドですから、今後も分配は極力避ける運用にしてくれるはずです。

少しでも有利に資産運用したければ、毎月分配型投信は避け、分配金を極力出さないファンドや、税金がかからない確定拠出年金を活用すべきです。特に若い人は、運用期間が長くなるので尚更です。一方で、資産を取り崩していく高齢世代の人については、定期的に一定のお金を受け取る必要があるので、毎月分配型投信でも問題ありません。但し注意したいのは、毎月分配型投信にはコスト(信託報酬)の高いファンドが多いので、なるべく安いファンドを選ぶべきです。

 

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