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景気循環と株価・債券価格の関係

経済に詳しくない人でも、景気が波を打つように循環していることは知っているはずです。好景気と不景気は、数年毎に入れ替わるように訪れることは、何も偶然の産物ではありません。経済政策により、意図的に作り出されているのです。

景気というのは、過熱しすぎると「バブル」を生みますし、過度なインフレも招きます。80年代の日本や2000年代のアメリカでは、不動産バブルが起きて、経済の足かせとなったことは記憶に新しいです。ですから政府や中央銀行は、経済が過熱しすぎてバブルが起きないように、適度に景気を冷やすことを行います。それが政策金利(公定歩合)の調整です。好景気時には、金利を引き上げて(金融引き締め)、インフレを抑制し、過度なバブルが起きないようコントロールするのです。

一方で、経済情勢が悪い時は、金利を引き下げて(金融緩和)、企業や個人がお金を借りやすい状態を作りだし、モノが売れて景気が上向くようコントロールします。もし経済が悪化しているのに金利を引き下げなければ、景気はとんでもなく落ち込むことになります。

1929年の世界大恐慌時、アメリカは金利引き下げを渋った為(※1)、景気悪化に歯止めが掛からず、失業率が20%を超えるなど悲惨な状況に陥りました。この教訓から、2007年のサブプライムバブル崩壊後は、アメリカは急ピッチで金利を引き下げ、最終的には米国史上初のゼロ金利政策に突入しました(※2)。

株式は不況時に、国債は好景気時に買うのが最も合理的

このように、景気と金利の関係は極めて明確で、景気が悪化を始めたら金利が引き下げられ、上向き始めれば金利は引き上げられることになります。

実は株式市場も、この景気サイクルと明確な関連性を持っています。結論から先に言うと、株価は実体経済が悪化する前に下がり始め、逆に経済が上向く前に上昇を始める性質があります。この理由は、株式市場の参加者が、他人より少しでも有利に売買しようとする為、常に先回りバイアスが働くからです。そしてもう一つの理由が、不況で金利が引き下げられる為、過剰流動性が生まれるからです。

右図は、この関係性を示したものです。株価は景気を先取りする「先行指数」といえますし、金利は景気の情勢を見た後に変更されるので「遅行指数」と考えられます。

この関係性を理解できれば、時期毎に投資する対象を絞り込むことが出来ます。株価が先行指数であるのなら、景気が悪化している時に投資し、景気が過熱している時に売却する(若しくは買い増ししない)ことが、理論上は最も合理的な売買になるはずです。

一方で、債券投資(国債)は、株式よりも更に明白です。低金利時に買った債券は、経済が上向いて金利が上昇すれば、価格が下がります。株式と違って、債券は元本も利息も決まっていますから、金利上昇期には、低金利の既発債が高金利の新発債よりも価格が下がることは、100%絶対の原則です(⇒債券価格と利回りの関係は逆相関になる)。

ですから、国債や債券ファンドは、金利の高い時期=景気が過熱している時期に買うのが、最も得をします。一方で2011年現在のような、世界的に超低金利の時代には、債券に投資するのは愚の骨頂なのです。

インデックス投資の解説書では「株式と債券へ分散投資し、リバランスで割合を保つ」ことが推奨されています。しかし、上記のような景気循環の法則を知っていれば、今どの資産に資金を投入するのがベストなのか、判断が付くはずです。特に、元本も利息も確定している債券投資は、世の中の金利が高い時に買うべきであることは明白です。

 

※1:世界恐慌時、アメリカ政府が金本位制の維持を行った為、中央銀行は金の流出を避ける為に金利を上げました。本来なら利下げすべき時に、逆に金利を上げたことで、アメリカ経済は壊滅的な被害を被ることになりました。
※2:このため米国の長期金利は、史上最低になりました⇒アメリカの長期金利(10年債利回り)推移

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