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発展途上国への投資は必要ない!

近年では、中東やアフリカや西アジアなど、世界の発展途上国でも株式市場が次々に誕生しています。未だに社会主義体制が続くモンゴルや、世界で最も貧しい国の一つと言われていたバングラディシュ、つい最近まで鎖国同然の状態だったミャンマー、そしてアフリカ諸国にも株式市場が生まれています。

中国やインドは、株式マーケットの分類では先進国より下の「新興国」で、ベトナムや中東諸国など新興国に準ずる国は「途上国」と分類されます。新興国の平均株価はMSCIエマージング指数として有名ですが、途上国もMSCIフロンティア指数という平均株価指数が存在します。MSCIフロンティアマーケットをベンチマークにするETFも存在し、日本の証券会社でも購入できます。

現在では、世界に分散投資するインデックス投資では、新興国へも20〜30%の配分で投資すべきだというのが、基本理論です。では発展途上国への投資は必要なのでしょうか?

これについては専門家の中でも様々な意見がありますが、当サイトでは発展途上国への投資は必要ないという結論です。その理由は、規制が強いことや手数料や流動性などの投資リスクが大きい事と、途上国の経済成長に疑問があるからです。

MSCIフロンティアの構成国途上国の国々は経済基盤が脆弱なため、政府がマーケットに対して様々な規制を強く掛けています。例えばベトナム株は、外国人投資家は最大でも50%までしか投資できないという法律になっています。またベトナムは恒常的に高インフレなので、通貨の切り下げを頻繁に行っているので、日本人投資家は円高による為替差損を被るリスクが高いのです。ベトナムだけでなく、多くの途上国が似たようなリスクを抱えており、外国人投資家にとっては大きなデメリットとなっています。

また、投資コストや流動性リスクが高い事も大きな問題です。発展途上国で個別株に投資できるのは、ベトナムと中東(UAE=ドバイ)くらいですし、前述のMSCIフロンティア指数も構成国は25カ国ほどで、モンゴルやバングラディシュなどは含まれていません(フロンティアにすら満たない市場とされている為)。ETFもアイシェアーズのフロンティア株ETF【証券コード;1583】くらいしか存在しません。

上記ETFは、信託報酬こそ0.79%と高くありませんが、投資国の過半数が中東に偏っており、地政学リスクの高さや原油価格に依存しやすいなどの問題があります。また一部、アフリカなどのフロンティア諸国を対象にした投資信託も販売されていますが、信託報酬が2%を超えていたりなど手数料が非常に高いものが多く、お勧めしかねます。

というように、発展途上国への投資ツールはまだ十分整っているとは言い難く、そこまでリスクを取って投資する必要があるのか大いに疑問だというのが、投資の必要性を疑問視する理由の一つ目です。

途上国は本当に経済成長・発展していくのか?

もう一つ、発展途上国への投資が必要ないと考える理由として、途上国の経済成長は果たして続くのかという疑問です。ほとんどの途上国では、一部の支配者層が国の富を独占していて、かつ一般国民は教育水準の低さが仇となり、貧富の差が拡大の一途を辿っています。

一部の者が利権を守るために、国の成長が阻害されているのです。そして数少ない成長は、国営企業など限られた人間だけが利益を得る構造で、地元の国民まで恩恵が行き渡らないのです。これでは中間層が育たず、国の内需は拡大しませんから、経済成長は期待しづらいのです。しかし国民の教育水準が低いので、一向に社会が変わる兆しはありません。世界中から多額の援助を受けているアフリカ諸国が、永遠に貧困や紛争から抜け出せていない理由(※1)とも共通しています。

リビアやエジプトなどでの「アラブの春」のような民主化革命も生まれましたが、未だに紛争が続いており、まだ問題解決の一歩目にすら満たない状況です。そしてアフリカ南部や南アジアなど、革命の気配すら無い地域の方が圧倒的に多いのです。果たしてフロンティア諸国が、先進国のように民主的な国家になる日は訪れるのでしょうか?

このように発展途上国は、外国人投資家に対する規制が強く、投資可能であっても手数料が高コストで流動性リスクも高いです。そのうえ、今後の経済成長にも疑問が残るとなれば、わざわざ大きなリスクを取ってまで途上国に投資する必要は無い、というのが当サイトの結論です。

 

※1:詳しくは援助では貧困が無くならない理由(マイクロファイナンス解体新書)をご参照下さい。

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