新興国の売上比率が高い企業を狙え!
当サイトで何度も述べているように、中国の通貨・人民元の為替レートは将来的に上昇していくことは、ほぼ間違いありません。また現在は貿易赤字国であり、米ドルとペッグしているインドルピーも、やがては経済成長と共にドルペッグを離脱し(せざるを得なくなり)、ルピー高へとなる可能性が高いでしょう。
為替レートというのは、究極的には二国間の成長力の差異に相対して変動していきます。中国やインド以外にも、ブラジル・レアルやベトナム・ドンなど、高い成長力を持つ新興国の通貨が、低成長を余儀なくされる日本円や米ドルなど先進国通貨に対して、長期的には上昇していくことは必然の道理といえます。⇒新興国の為替レートは上昇するのか?
この新興国の通貨高の恩恵を受けるには、何と言っても現地企業の株式を買うことが一番です。特に輸出で儲ける企業の株よりも、その国の内需で儲ける企業の株の方が、より通貨上昇の恩恵が大きいといえます。輸出産業にとって自国通貨高は、競争力の低下を招いて利益減少となりますが(円高が日本の輸出産業にマイナスなのと同じ)、内需型産業は基本的に関係ありません。
例えばブラジルなら、輸出産業であるペトロブラスやヴァーレなどは、レアル高は売り上げの減少を意味しますのでマイナス要因です。しかしイタウバンクやブラテスコ銀行などの金融機関や、不動産開発のガフィサなどの内需産業は、レアル高は売り上げには直接影響はありません。むしろ日本の投資家にとっては、円に換算したときに大きな為替差益が得られるので、投資対象として有利だと考えられます。
ましてや新興国では、内需の伸びが先進国よりもはるかに大きいので、増益を望めやすいこともメリットです。特に中国は、安い労働コストを生かす「世界の工場」から、国民所得の増大による「世界の市場(マーケット)」へと完全に転換したといえるでしょう。中国企業で今後有望となるのは、人件費の増加で競争力が低下してきた輸出型企業ではなく、旺盛な消費の恩恵を受ける内需型企業だと考えられます。
新興国の内需型企業か、新興国への輸出企業が有望
同様に考えると、新興国の現地企業株だけではなく、新興国で大きな売上を形成している先進国企業の株も狙い目だといえます。例えば同じアメリカ企業でも、米国内でのみ営業をしている企業は、現在懸念されている米ドル安が本格化すれば、日本の投資家にとっては一方的に為替差損を被ります。しかし同じアメリカ企業でも、中国など新興国での売上比率が高い企業なら、新興国での売上で大きな為替差益を上げられるため、仮にドル円が円高になっていても、損失のかなりの部分を相殺できることになります。
先進国は、日本もヨーロッパもアメリカも、今後も高い経済成長は望めない情勢です。株価は長期的には、名目GDP成長率と相関関係があることが判明しています。ゆえに先進国だけで商売をしている企業は、売り上げを伸ばすことに限界があるのは必然的です。先進国の個別企業に投資する場合は、海外・特に新興国での売り上げ比率が高い企業、厳密に言えば「新興国で積極的に事業拡大を目論んでおり、かつ激しい競争に勝ち残れる企業」を選ぶことが、最大のポイントになるでしょう。
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