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設備投資比率と株価の関係

設備投資は一般的に、企業が成長する原動力として不可欠なものと見られています。ゆえに設備投資に熱心な企業ほど、株式投資の対象として優れていると見られがちです。

しかし実際には、企業の設備投資と株価は逆相関の関係にあるというデータがあります。「株式投資の未来 (ジェレミー・シーゲル著)」では、S&P500の企業群を「売上高に占める設備投資の割合」で5段階に分けた場合の調査結果が示されています。それによると、最も株価上昇率が高いのは、売上高設備投資比率が最も「低い」グループでした。逆に最も株価上昇率が低かったのは、設備投資比率が最も「高い」グループだったのです。設備投資と株価の利回りは、見事に逆相関の関係になったのです。

設備投資対売上比率 年率リターン 累積金額
最低グループ 14.78% $567.490
最高グループ 9.55% $66.275
S&P500全体 11.18% $130.768

データの参考文献「株式投資の未来」、1957年〜2003年のデータ。累積金額は57年に1000ドル投資したら幾らになったのかを示す。

エージェンシーコストの低い企業に投資すべき

企業の設備投資といっても、実際には企業の成長に有効なものと、そうでないものも含まれています。例えば都心の一等地に立派な超高層の自社ビルを構えることは、企業の成長には関係なく、むしろ無駄遣いであるケースの方が圧倒的に多いはずです。しかし、無駄に立派な自社ビルの建設費も、企業の成長の源泉となるような新技術の研究開発費も、会計的には同じ「設備投資」に分類されてしまうのです。

2009年にGM(ゼネラルモーターズ)が経営破綻した際に、ニュースの背景画面でデトロイトにそびえ立つ超高層自社ビルがよく写されていましたよね。あの巨大な自社ビルの建設や維持費として費やされた膨大な「設備投資」は、GMの経営にプラスに働いたとは思えません。GM社員のプライドを満たすことは出来たかもしれませんが、経営的には完全に「無駄なコスト」でしかなかったはずです。

株式会社では、企業は株主のものであり、経営者や社員は、株主に変わって会社を「代理で」運営していることに(定義上)なっています。経営者=株主である中小企業では、会社の存続は社長自身の人生と直結するので、無駄なコストを使わないよう努められます。しかし多くの上場企業では、経営者は単なる雇われ社長に過ぎませんから、会社の利益を優先するよりも、自分や社員達の満足度を高めるために無駄遣いされがちです。

経営者がオーナーでないことによって使われる、企業の無駄な投資のことをエージェンシーコストと呼びます。雇われ社長が経営する上場企業では、エージェンシーコストは常に上昇バイアスが働いていると考えるべきです。株主はエージェンシーコストが上昇しないような、優秀な経営者の企業に投資することを心がけるべきです。



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