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金投資は儲からない

2009年に入り、一旦収束したと思われた商品価格が再び上昇し始めています。特に「金」の価格は史上最高値を更新、一時は1200ドル台に乗せるなど、バブルの様相を呈しています(⇒金価格の時系列データとチャート)。その動きに連動するかのように、金投資を勧める書籍も増え始め、一種のブームと化しています。

しかし筆者は、金投資は余りお勧めしません。その理由は、金は基本的に物価上昇率以上には儲からないことが、過去のデータから判明しています。ジェレミーシーゲル著「株式投資の未来 」によると、1802年〜2003年の約200年にわたるデータから、金の実質利回り(物価変動を除いた正味の値上がり益)は、年率0.1%とほぼゼロであることが明らかになっています。

確かに1970年代には、金本位制が崩壊したことや(ニクソンショック)、オイルショックによる世界的な物価の高騰があり、金価格は大きく上昇しました。しかし世界経済が落ち着きを取り戻した80年代になると金価格は暴落、結局は実質利回りがゼロ水準へと逆戻りしました。今回も世界的な不況と、米ドルの価値減価リスクが叫ばれて金価格は上昇しましたが、結局いつかは金バブルは弾けて、その値上がり率はインフレ率並に落ち着くと思われます。

一方で株式は、過去200年間で平均6.8%の実質利回りを記録しています。同様に長期国債は3.5%、短期国債は2.9%の実質利回りと、いずれも物価上昇率を大幅に上回る利益を生み出してきました。このように過去のデータからは、長期的には金投資よりも株式投資の方が圧倒的に有利であることが示されています。

金は付加価値を生まない(インカムゲインが無い)

その理由も明らかで、金はそれ自体が付加価値を生む存在ではないからです。株式というのは、企業が成長(増益)すれば、それに応じて株主への利益配分が増えていきます。ご存じのように株式には「配当金」というインカムゲイン(保有しているだけで得られる利益)があります。国債などの債券や、FXのような通貨投資にも、金利収入というインカムゲインがあります。

ところが金にはインカムゲインはなく、キャピタルゲイン(売却益)しかありません。しかも企業(株式投資)のように、それ自体が新たな付加価値を生む存在ではありません。自分が売りたいときに、買値よりも高く買ってくれる人がいるかどうかで利益が決まるため、金投資は本質的に「投機」であるといえるでしょう。

確かに金には「無国籍通貨」という側面があり、インフレ(=円やドルの価値低下)のヘッジには適します。しかし長期で資産運用を考える場合、軸となるのは株式です。金などの商品投資は、利用するにしても資産のごく一部(10%未満)に留めるべきだと思います。



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