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ファンダメンタルインデックスとは?

インデックス投資の欠点のページで、時価総額加重平均でファンド・ETFのポートフォリオを構成することは、決して最適な方法とは言えないと述べました。時価総額加重平均の場合、大赤字の企業でも株価が高ければ、ファンドに大量に組み入れられることになり、将来的にリターンの足を引っ張る可能性が高くなります。

インデックス投資が最適な投資であるためには、株価が常に適正価格であることが大前提となります(「効率的市場仮説」が成立する場合)。しかし、古今東西の様々なバブルとその崩壊を見ても明らかなように、株式市場は決して「効率的」ではなく、常に過大評価な国や企業が存在します。

それが証拠に、低PER低PBRや高配当など「バリュー株」と呼ばれる手法に基づいたETFでは、市場平均を上回る利回りを上げるというデータがあります。そして極めつけが、時価総額毎にウエイト付けをせず、全銘柄を等しい割合で保有する「等ウエイトインデックス」の存在です。アメリカの平均株価であるS&P500指数は、時価総額加重平均で算出されますが、これと同じ企業群を等ウエイト(1銘柄0.2%ずつ)で保有した場合の利回りの方が、より高くなるというデータがあるのです。17年間でその差1.5%というのは、偶然では済まされない差です。やはり時価総額加重平均は、決して「効率的」では無いのです。

S&P500のウエイト別・年率利回り(1990〜07年)
  時価総額加重 等ウエイト
利回り 10.5% 12.0%

そこで、時価総額加重平均に変わる新しいインデックス付けの方法論として編み出されたのが、ファンダメンタルインデックスという理論です。これは時価総額ではなく、企業の売上高・配当・株主資本・キャッシュフローの4つの観点から上場企業を順位付けし、その平均でポートフォリオのウエイト付けを決めるという方法です。

株価というのは、長期的には企業のEPS(一株利益)の成長率に比例していくと解釈できます。時価総額(株価)の変動は企業のEPS成長率と関係ありませんが、売上高や株主資本などの変動はその企業のEPS成長率に直接関係してくるので、ポートフォリオの構成基準としてより有効だと考えられます。比較すると、時価総額加重平均が【企業の人気】をベースに算出される指数であるのに対して、ファンダメンタルインデックスは【企業の経済規模】をベースに算出される指数だということです。

このファンダメンタルインデックスという考え方は近年作られたものであり、これに基づいて運用されるファンド・ETFはほぼ全てが2005年以降の設定と、歴史が浅いです。しかし過去に遡ってデータを算出したファンダメンタルインデックスの利回りは、時価総額加重平均指数を大幅に上回るという計算結果が出ています。アメリカでは過去45年間でS&P500指数を2%上回り、またヨーロッパ・日本・新興国など、世界中のあらゆる地域で時価総額加重平均の指数を大きく上回っています。

ファンダメンタルインデックスと時価総額加重との年率利回りの差
  時価総額加重
インデックス
ファンダメンタル
インデックス
その差
米国大型株(1962年〜) 10.3% 12.3% +2.0%
米国小型株(1979年〜) 12.5% 15.9% +3.4%
ナスダック(1973年〜) 10.5% 16.7% +6.1%
欧州株平均(1984年〜) 14.8% 17.8% +3.0%
日本株(1984年〜) 4.3% 7.2% +2.9%
新興国株(1994年〜) 8.7% 19.4% +10.7%

参考資料:ファンダメンタルインデックス(東洋経済新報社)
データは2007年までの数値。米国小型株はラッセル2000、欧州株はMSCIヨーロッパ、日本株はMSCI日本、新興国株はMSCIエマージング、の各指数。データの有無により、比較期間が異なる事に注意されたし。

近い将来、時価総額加重型ETFに変わって、インデックス投資の主流となる可能性がある理論だといえるでしょう。既にアメリカでは、ファンダメンタルインデックスに基づいたETFが数多く上場されていますので、日本でも購入できる機会が増えて欲しいものです。




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