ダウの犬〜高配当戦略
株式投資で高いパフォーマンスを生み出す方法の一つに、配当利回りの高い銘柄でポートフォリオを組む「高配当戦略」があります。中でも最も有名な高配当戦略として「ダウの犬(Dogs
of the Dow)」があります。
ダウの犬とは、ニューヨークダウ構成銘柄30種のうち、配当利回りが高い銘柄を10種類選んで投資する方法です。10銘柄への資金配分は等ウエイトで、1年ごとに構成銘柄を再度見直し、高配当銘柄が入れ替わっている場合はその通りに入れ替えて、再び1年間保有する・・・と繰り返します。配当金は再投資したと仮定して、パフォーマンスを測定します。
このようなダウの犬戦略では、統計的に通常のダウ平均より高いリターンを上げられています。同様に、S&P500指数でも高配当10銘柄を選ぶ戦略をとった場合、通常のS&P500よりも高い利回りが得られます。
戦略 |
投資対象 |
年率リターン |
累積金額 |
NYダウ平均 |
ダウ30種平均株価に投資 |
12.00% |
$183.460 |
ダウの犬 |
ダウ平均の構成銘柄中、高配当な10銘柄に投資 |
14.43% |
$493.216 |
S&P500 |
S&P500平均株価に投資 |
11.18% |
$130.768 |
S&P500高配当 |
S&P500の構成銘柄中、高配当な10銘柄に投資 |
15.69% |
$816.620 |
※参考文献「株式投資の未来
」、1957年〜2003年のデータ。累積金額は57年に1000ドル投資したら幾らになったのかを示す。
高配当戦略の有効性は世界共通
高配当銘柄が高いリターンを生む傾向は、何もアメリカに限った事ではありません。同書によると、イギリスでも過去103年間のデータを分析した結果、高配当戦略は高いリターンを示し、低配当銘柄グループよりも年率3%上回ったとあります。
また、マネー雑誌「ZAI」の2008年11月号に、日本の高配当戦略のデータが掲載されました。それによると、『TOPIX Core
30(TOPIX構成銘柄の内の主要30銘柄)』の中から高配当5銘柄を選考して投資した場合、1992〜2006年の14年間で、年率約8.5%(累積で3倍強)のリターンを稼ぎ出します。一方でTOPIX自体はこの間年率0.2%弱(累積でたった2.5%)とほとんど増えていません。
問題があるとすれば、個人投資家が高配当戦略を実践する場合、データ収集や毎年の銘柄入れ替えに伴う手間や課税など、幾つか面倒が生じる点でしょう(外国株で実践するならなおさら)。しかし、アメリカ市場には高配当戦略をうたった投資信託やETFが数多く存在するので、それを利用すれば手間は省けます。
例えば「ダウジョーンズ・高配当株式インデックスファンド【DVY】」は、高配当な100銘柄を厳選して投資するETFです。減配した銘柄は直ちに入れ替えを行うなど、臨機応変に売買してくれるので、投資家は放ったらかしでも高配当戦略を実践できる事になります。
ちなみにこの【DVY】のパフォーマンスは、1970〜2004年で計算して、物価上昇を引いた実質リターンが年率10.48%を記録、同期間のS&P500の実質リターン6.25%を大きく上回っています。お手軽に高配当戦略を実践するなら、現状ではこのDVYに投資するのがベターでしょう。
※追記:2011年より、配当金が通常の株よりも多い「優先株」に投資するETF「iシェアーズ S&P 米国優先株式インデックスファンド【PFF】」も、ネット証券各社で取り扱いが始まりました。但しこのETF、配当は多いものの、毎月分配型なので複利効果が低いという欠点もあります。
※更に追記;高配当ETFが増えてきたので、高配当ETFの比較一覧表ページを設けました。
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