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新興国の為替レートは上昇していくのか?

投資の書籍等では「為替はゼロサムゲーム」だと書いています。そのため、海外投資する際には為替リスクを背負うことになるとの見解です。確かに為替レートの決定には、複雑な要素が絡んでおり、値動きを読むのは一筋縄ではいきません。例えば米ドルに対して、将来的に円高になるのか、それとも円安が進むのか、正確な予測をするのは難しい問題です。

しかし、対新興国の為替レートとなると、話は変わってきます。バラッサ・サミュエルソン効果という為替理論によると、新興国の通貨は先進国のそれに対して、長期的には確実に切りあがっていくとされています。

バラッサ・サミュエルソン効果の原理はこうです。新興国は労働者の人件費が安いので、先進国よりも物作りをする上で、比較優位の立場にあります。すると、コスト削減の為に、先進国の製造業は新興国で行われることになります。そうなると、新興国の生産活動が増え、先進国への輸出が増え、貿易黒字が積み上がっていきます。

貿易黒字が増える国では、外貨を獲得して自国通貨に交換することが増えるので、大きな通貨高圧力を生みます。こうして、新興国の製造業が、コスト面での比較優位が続く限り、その国の通貨は上昇していくという理論です。

7〜80年代の日本や2000年代の中国は、まさにバラッサ・サミュエルソン効果の通り、通貨高圧力が高まっています。ドル円のレートは、1973年に自由相場移行時の1ドル=360円から、近年では100円割れにまで円高になっていますから、約4倍切り上がったことになります(※1)。

通貨高を拒む国と、日銀のデフレ政策がネック

しかし、全ての新興国通貨がバラッサ・サミュエルソン効果の定義通り、上昇を続けるとは限りません。例えばインドやベトナムなどは、近年は6〜9%もの経済成長率を記録していますが、インドルピーやベトナムドンの為替は安くなっています。これは、インドやベトナムの成長の源泉は内需であり、一方で貿易赤字が続いており、通貨高の圧力は掛からないためです。

また新興国では、ドルペッグ制やバスケット制など、様々な方法で自国の為替レートをコントロールしている国が多いです。前出のインドやベトナムも、米ドルとのペッグ制を取っています。またブラジルのように、名目は自由相場ですが、政府が海外からの投資を抑制し、意図的に通貨高を抑制している国もあります。

もう一つ重要なこととして、為替レートは相手国との相対評価であることも忘れてはいけません。つまり、いくら人民元やブラジルレアルが(貿易黒字などで)上昇圧力が高まっても、それ以上に日本円の上昇圧力が高ければ、元高やレアル高にはなりません。

現在の日本は、日銀のデフレターゲット(マネタリーベースを増やさない)という悪政により、世界のあらゆる通貨に対して円高圧力が掛かっています。この日銀の態度が改まらない限り、バラッサ・サミュエルソン効果が見込めても、短期的には円高が続く可能性は十分あります。

一方で、10年以上の長期的視点からは、日本政府の財政破綻が迫っていること、また破綻を避ける為には米国のような通貨切り下げ戦略(※2)を取るしかないことから、どう転んでも円安が進むしかないはずです。

結局は、短期的には為替レートはどうなるかは分からないので、海外投資は長期的なスタンスで挑むしか無いということです。長期投資が物理的に困難な高齢者などは、海外投資は資金の一部に限定して、過剰な為替リスクは取らないようすべきです。

※1※2:アメリカ合衆国は、双子の赤字(貿易&財政)の負担を軽減するため、マネーサプライを増やすなどして、意図的にインフレ=通貨切り下げを行っています。日本も、財政破綻を避ける為には、意図的にインフレを起こして、借金の負担を減らしていくしか方法はありません。




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