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金利平価説は間違い(成立していない)

為替レートの決定理論として、購買力平価説と並んで有名なのが、金利平価説です。金利平価説とは、ある2国間に金利差が生じる場合、最終的には為替レートの変動によって金利差は相殺され、利益は得られないという考え方です。例えば、米ドルが日本円より3%金利が高いのであれば、為替レートは3%分円高ドル安へ進むので、金利分は為替差損で消えるというのです。

つまり、FXなどでの円キャリートレードは、金利平価説によれば儲けられないという結論になります。確かに金融危機以降、米ドル・ユーロ・ポンド・豪ドルなど、全ての主要通貨に対して円高が進んだため、円ショート(円売り・外貨買い)のポジションを持つFXトレーダーは大きな損失を被りました。

この一面だけをみれば、金利平価説は正しいとも見て取れます。金利平価説を盲信する経済学者が多いのか、金融危機以降、ここぞとばかりにFXを否定したり、2007年までの円安は「異常事態」であって1ドル=80円が正常なのだ、などと宣っています。

しかし、100年に一度といわれる金融危機での異常な円高を指して、正常な為替レートに戻ったというのはおかしな話です。円高よりもはるかに長期間円安が続いていたこと、そして市場参加者の多くが金利差から利益を伺っていたことから、円安こそが市場のトレンドであり、金融危機以降の円高の方が異常だと見る方が自然です。

他の観点からも、この相場の異常性は明らかです。例えば、国際通貨研究所の算出している購買力平価ベースの適正レートは、1ドル=90円台に円高進行した2009年度でも、140円前後となっています。購買力平価説自体も、決して当てになる理論ではありません。しかし、金融危機前の実際のレートが120円前後だったのですから、乖離具合から見れば、1ドル=90円というレートの方がより異常であると言えるはずです。

何よりも、近年のデータからは金利平価説は成立していないことが分かります。「通貨投資戦略 (東洋経済新報社)」という書籍のデータによると、1970年代までは確かに高金利通貨は為替レートが減価しており、金利平価説は成立していました。しかし80年代からは逆に高金利通貨ほど為替レートが強くなり始め、96年以降はデータ上、金利平価説は不成立の状況が続いています。これは、金利差を反映した裁定が働くよりも、キャリートレードによる高金利通貨買いの方が、はるかに強いトレンドであることを意味します。

同書によると、2007年以降の超円高による為替差損を含めても、金利差による利益(スワップポイント)の方が上回っており、トータルではプラス収益を記録するとあります。

金利平価説は経済成長による通貨高を加味していない

この現象は何も先進国通貨だけに限らず、新興国通貨でも同様です。「新興国通貨の高金利は、高インフレにより為替レートが下落するので無意味だ」というのが金利平価説盲信学者の言い分ですが、実際には円高による為替差損を上回る金利を得られているのです。

そもそも金利平価説は、2国間の金利だけを材料にし、両国間の経済成長率や貿易収支の差は全く考慮していません。実際には新興国など経済成長率の高い国は、貿易黒字や海外からの投資マネー流入により、長期的には通貨高になるケースが多いのです(バラッサ・サミュエルソン効果)。1ドル=360円だったドル円レートが、日本の高度経済成長を経て今日まで、約4倍も切り上がってきていることが何よりの証明です。新興国は概して高インフレですが、経済成長による通貨上昇はそれをはるかに上回ることが多いのです。

金利平価説は、経済をある一面からしか考えない、欠陥だらけの使えない理論と言わざるを得ません。今回の世界的な不景気が底を打てば、主要国では日本より先に利上げが行われるでしょう。そして再び円キャリートレードが活発化し、日本円は金利平価説とは真逆の「低金利なのに通貨安」に見舞われるでは?と筆者は予想しています。

筆者の予想を信じるか否かはご自由ですが、少なくとも金融危機後の異常な円高だけを見て「外国株投資は危険だ」と考えてしまうのは早計ですよ。





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