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経常収支と為替レートの関係〜国際収支説

為替レートの決定理論の一つに、経常収支の黒字が大きいほど、その国は通貨高になるという「国際収支説」という理論があります。経常収支とは、国際収支(ある国のお金の流入・流出合計)という中の、「貿易・サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」の3つを合計したものです(下図赤字部分)。

国際収支の内訳

一つ目の貿易・サービス収支とは、貿易や海外旅行などの金銭移動を示すもので、輸出が輸入より多ければ貿易黒字、その逆が貿易赤字となります。貿易黒字は、外国に商品を売ってその対価として金銭を受け取るので、日本に入ってくるお金が増える→円高圧力となります。ご承知のように、日本は大幅な貿易黒字国です。一方でサービス収支は、日本では海外旅行へ行く人が、来日する外国人観光客よりも多いので、赤字が続いています。しかしトータルの「貿易・サービス収支」は、日本は黒字が続いています。

二つ目の所得収支とは、日本企業が海外(現地法人)で稼いだ金額がプラス、逆に外国企業が日本で稼いだ金額をマイナスして合算したものです。意外と思われるかもしれませんが、実は日本は貿易・サービス収支よりも、所得収支の方が黒字幅は大きいのです。2001〜10年の合計で、貿易収支は+94兆円ですが、所得収支は+115兆円もあります。

三つ目の経常移転収支は、ODAなど海外への資金援助や、国連やIMFなど国際機関への拠出金など、また外国人労働者の本国への送金などが含まれます。内容から一目瞭然ですが、日本は経常移転収支は大幅なマイナスです。

そしてこの3つを合計したものが「経常収支」です。上記のように、日本ではプラス項目もマイナス項目も存在しますが、トータルすれば経常収支は大幅な黒字です。というより、日本の経常収支の黒字は、毎年世界でも1.2を争う金額です。ゆえに経常収支の面からは、日本では常に円高圧力が掛かり続けているといえます。

経常収支より為替投機(円キャリートレード)の影響力の方が強い

このように、国際収支説は、実際に2国間のマネーの移動=実需を見た理論ということになります。経常収支が黒字というのは、その国が国際競争で「儲かっている」状態な訳ですから、極論すれば、その国の国力が繁栄したか否かによって、為替レートが決まると言い換えられる理論でもあります。

為替レートは国力に繁栄するというのは、高度成長期の日本や、近年の中国のように、最も実感しやすい理論でしょう。20世紀後半の国際経済では、経常収支が黒字か赤字かと、為替レートの関係は、かなり密接であったといえます。

経常収支とドル円レートの関係しかし現在では、為替レートは一つの要素だけで決まるものでは無くなっています。経常収支のように実需による金銭移動だけでなく、各国の金融政策等を材料とした投機によって為替レートが大きく左右される時代になりました。

日本では、2001年を底に経常収支の黒字幅が拡大していき、2007年には過去最高を記録しました。しかし為替レートは、2005年初頭に1ドル=100円台前半だったのが、2007年には120円を突破する円安へ進んでいます。逆に2008・2009年は、経常収支は大幅に減少していますが、為替レートは急激な円高に進んでいます。右の図でいうと、国際収支説に習えば、黒棒と赤線は「逆相関」になるはずなのが、2005年あたりから正の相関になっていることが分かります。

この背景にあるのは、為替マーケットの急激な拡大です。世界一低金利な日本円で資金調達し、高金利な外貨を買って金利差を得る「円キャリートレード」などはその典型です(※注1)。2000年以降は、日本でもFX(外為証拠金取引)が、一般の個人投資家にも急激に普及しました。FXではレバレッジ〜持ち金の数十倍の売買が可能なので、個人投資家といえども、実際の為替相場に影響を及ぼすまでになりました。前出のように、貿易黒字が10年合計で100兆円足らずという規模なのに対し、ドル円の為替取引は1日に約5千億ドル(40兆円)にものぼるのです。

経常収支の増減は「購買力平価」のような机上の空論ではなく、実需を伴ったものなので、確実に為替相場に影響を及ぼします。しかし近年は、FXなど為替市場への流入資金が爆発的に増えており、彼らが様々な思惑によって「投機」を行う事の方が、より為替レートへの影響が強くなっているのが現状です。

 

※注1;為替投資で円売り=ドル買いをする事は、最初の図でいう所の「資本収支⇒投資収支」の赤字が拡大することを意味します。

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