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人民元の適正為替レートは幾らか?

中国の人民元は、管理相場制が敷かれており、政府が為替レートを大幅に安く抑えているという話は、多くの方がご存じでしょう。しかし、どの程度人民元が過小評価されているのかについては、様々な意見が散見されています。 そこでこのページでは、人民元の為替レートに関する、国際機関や民間シンクタンク等のレポートをまとめ、適正レートはどの程度なのか、将来的にどの程度切り上げされるのかを推測してみました。

※注意;2014年現在、中国ではシャドーバンキング問題の発覚などで経済が悪化しており、逆に人民元が切り下げられる可能性も出ていますので、注意が必要です⇒人民元切り下げの影響

まず最初に、購買力平価やそれに類似する数値からはじき出したレートです。IMFが発表した2011年度の中国の米ドル建てGDPは7298ドル、一方で購買力平価建てでは11300ドルとなっています。よって【7298÷11300=0.646】となり

◆購買力平価(2011年)による適正レートから35.4%の過小評価(元安)

となります。次に、英国エコノミスト誌が毎年発表している「ビッグマック指数(※注1)」での計算です。2011年度の米国のビッグマックの値段が4.20ドル、中国のビッグマックの値段を実際の為替レートで換算すると2.44となったそうです。よって【2.44÷4.2=0.581】となり

◆ビッグマック指数(2011年)による適正レートからは41.9%の過小評価(元安)

となります。2009年の数値では、購買力平価では44.1%、ビッグマック指数からは48.7%の過小評価でしたから、この2年間で人民元は確実に切り上がっていると見て取れます。但し、当サイトで指摘しているように、購買力平価は当てにならない数値ですから、(購買力平価の派生である)ビッグマック指数共々、所詮は一つの説に過ぎません。

国際機関やシンクタンク等の見解は・・・

では次に、IMFの見解です。IMFは人民元について、2011年の中国経済の年次審査報告書の脚注で、(算出方法によって数値は異なると但し書きした上で)通貨バスケットに対し3〜23%過小評価されていると発表しています。

◆IMFの見解(2011年)=人民元は3〜23%の過小評価

この数値は、他の機関と比べて随分少ないです。その理由は、IMFは決して中立機関では無いことに起因します。IMFは2011年に、副専務理事(ナンバー2。全4人)の一人に、元中国人民銀行副総裁の朱民(Zhu Min)氏を選任しました。他社と比べて異常に低い人民元の評価は、この副専務理事を通じて、中国政府の意見を色濃く反映させた結果だと言えます。平たく言えば、中国政府の圧力により、IMFは極めて恣意的なレポートを出したと言えるでしょう(※注2)。

一方で、非常に高い数値を出す機関もあります。世界銀行は、2000年代前半頃まで、購買力平価を基準に考えれば、1ドル=1.6人民元が妥当であり、1/5程度まで過小評価されていると述べていました。当時は1ドル=8.28元で固定されていたので、現在の約6.38元まで切り上げされたことを勘案しても、およそ75%割安だという計算になります。

◆世界銀行の見解(2000年代前半)=80%の過小評価、(2012年)70%超の過小評価?

その他、民間企業の見解もまとめました。世界的金融グループのHSBCは、人民元の理論価格は『1米ドル=2.4人民元』程度が妥当で、当時の1ドル=6.6元は余りに低すぎるというレポートを出しています。また米国の有力シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所」では『41%の過小評価』と述べています。米投資会社大手=ウィズダムツリーのジョナサン・スタインバーグCEOは『30−35%の過小評価』と言っています。

◆HSBCの見解(2011年)=人民元は63.6%の割安

◆ピーターソン国際経済研究所(2010年)=人民元はドルに対して41%割安

◆ウィズダムツリー(2009年)=人民元は30〜35%の過小評価

但し、HSBCは同年、日本など外国人向けに人民元建て預金のサービスを開始するなど、中国関連の金融商品の販売を積極的に行っています。つまり、この評価はポジショントークであり、人民元の上昇余地を大きく見せることで、販促に生かしていたとも見て取れます。その他機関についても、それぞれ思惑や利害関係があるので、数値を鵜呑みには出来ません。

当サイトの結論=人民元は相当割安で、将来切り上げされていく

最後に、当サイトの見解を申し上げておきます。当サイトでは

◆人民元は2011年現在、米ドルに対して約50%、日本円に対して70%超の過小評価

と推計しており、現状は相当な割安だと考えています。その根拠の一つは、かつての人民元の為替レートです。実はプラザ合意前(1985年)の人民元は、1ドル=約2.94元、1人民元=約80円という、現在からは考えられないほどの高いレートだったのです。特に、1994年に米クリントン政権が、人民元の大幅切り下げを認めたことが、その後のいびつな為替レートを生んでいることは間違いありません(※注3)。

  1985年 1986年 1990年 1994年 2012年
1ドル当たりの人民元 2.94元 3.45元 4.78元 8.62元 6.38元
1人民元当たりの日本円 80円 48円 30.1円 11.9円 12.4円

1980年代の中国は、まだ改革開放政策の途中段階で、経済も未熟でした。その時点で1ドル=3人民元程度だった訳ですから、経済が急成長を遂げている現在なら、最低でも同程度の為替レートでないとおかしいはずです。

もう一つの根拠は、日本が辿った道との比較です。日本は1973年の変動相場制以前は、1ドル=360円でした。40年経った現在まで、経済成長と共に約4倍に切り上がっている(円高)訳です。中国も同様の経緯を辿るとするなら、1ドル=8.27元の固定レート(2004年まで)から4倍切り上がれば、1ドル=約2元まで進む計算です。

これらの計算に加えて、当サイトが比較的適切だと考える世界銀行の購買力平価も加味すると、2012年現在の人民元の適正為替レートは、1ドル=3〜3.5元程度、1人民元=40円台だと考えます。特に2012年現在、日本円は明らかに行き過ぎた円高なので、将来的には人民元は円に対して80%以上切り上がっても不思議ではありません。

もっとも、中国政府は経済のソフトランディングに躍起で、急激な元の切り上げは行わないでしょう。故に、1ドル=3元や1人民元=40円台になるのは、2020年代やそれ以降になると予測されます。

 

※注1;世界各国のビッグマックの価格を同じだと仮定して、実際の為替レートとの乖離率を調べるための指数。原理的には「絶対的購買力平価」と同じで、しかもビッグマックという単一商品だけで比較する為、お世辞にも適切な検証方法とは言えない。
※注2;IMF副専務理事の4人の内の一人は、長年日本の財務省から選出している。その他、IMFの主要なポストへ財務官僚が大量に出向(天下り)をしている。近年、IMFが日本に消費税増税を促しているのは、全て財務官僚が仕組んだ自作自演なのである。このような恣意的横暴がまかり通っている事からも、IMFが中立機関では無く、一部の支配層の金の為に動く「利権機関」であることは明白である。
※注3;1994年初頭、1ドル=5.72元で固定していた為替レートを、1ドル=8.72元へと大幅に切り下げた。この元安を背景に、中国経済は大きく躍進し、逆に日本はとばっちりを喰らう形で経済が低迷し始めた。

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