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国民年金基金のデメリット

前項で小規模企業共済と確定拠出年金との比較をしましたが、今回は確定拠出年金と国民年金基金の比較です。両者は所得控除として同じ枠に定められており、両者併せて68000円までとなっています。

しかし結論から言えば、現在の国民年金基金には加入する価値は全くありません。その理由は、予定利率があまりにも低すぎて、将来年金として受け取る際に、事実上マイナスになる(インフレ=物価上昇率に負ける)可能性が高いからです。

国民年金基金は、加入時点での予定利率が生涯続くという致命的なデメリットがあります。2008年現在、国民年金基金の予定利率は年率1.75%という低水準です。2004年までは3%、1991年の設立当初は最大で6.5%もあった予定利率が、近年の基金の運用赤字に伴い、数年ごとに切り下げられてきています。

この1.75%という予定利率では、将来的にはマイナス金利(物価上昇率を下回るので事実上目減りする)になるリスクが非常に高いです。資本主義経済というのは、適度なインフレ上昇を前提にした制度であり、適正な物価上昇率は概ね年2〜3%程度と見積もられます。現に、日本を除く多くの先進国では、CPI(消費者物価指数)は平均して年率2〜3%の上昇を続けています。

主要国のインフレ率
  1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
アメリカ 2.3 1.5 2.2 3.4 2.8 1.6 2.3 2.7 3.4 3.2
イギリス     1.4 0.8 1.2 1.3 1.4 1.3 2.1 1.9
ユーロ圏 1.6 1.1 1.1 2.1 2.3 2.2 2.1 2.1 2.2 2.1
豪州 0.3 0.8 1.5 4.5 4.4 3.0 2.8 2.3    
カナダ     1.7 2.7 2.5 2.3 2.7 1.8 2.2 1.8
日本 1.8 0.6 -0.3 -0.7 -0.7 -0.9 -0.3 0 -0.3 -0.3

日本ではここ10年ほど、物価が下落するデフレ状態が続いていましたが、これは世界的に見れば異常な現象です。アメリカもヨーロッパも、インフレが当たり前という経済です。

日本経済は将来インフレ⇒予定利率が下回るリスクが・・・

特に日本の場合は、将来的にインフレは「起こさざるを得ない」経済状況です。人口減少で国内の経済成長が絶望的であるにも関わらず、国と地方を合わせるとGDPの2倍近い1000兆円にものぼる借金があるのです。この借金負担を減らすには、意図的に物価上昇を起こす”インフレターゲット”しか方法がないといえます。

仮に政府がインフレターゲットを目指さなくとも、日本経済の絶望的な状況を考えると、自然と通貨安(=インフレ)になっていくリスクは極めて高いでしょう。

また、現在の日本は貿易黒字国ですが、輸出競争力の低下と、穀物やエネルギーなど輸入品の価格上昇により、2020年頃から貿易赤字国に転落すると予想されています。貿易赤字=円安(通貨価値下落)=物価上昇ですから、国の経常収支面からも日本の将来はインフレが起きる事は避けられない状況といえます。

おそらく今後は、最低でも先進国並みの2〜3%、国力衰退による悲観的予測だと年率5%超の物価上昇も考えられます。そうなれば、国民年金基金の1.75%という予定利率は、完全に「逆ざや」となり、受け取れる年金額は、事実上目減りすることになります。これは銀行の普通預金にすら負けてしまう、強烈なデメリットといえます。

自営業者・個人事業主が将来の年金を確保する為には、実質赤字になるリスクが高い国民年金基金ではなく、確定拠出年金で外国資産中心の運用をして、インフレ率を上回る利回りを確保する必要があるのです。



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